理事長挨拶
日本臨床スポーツ医学会
理事長 松本 秀男
日本臨床スポーツ医学会は1989年8月に設立され、2019年でちょうど30年を迎えました。この間、本学会は毎年1回の学術集会や様々なセミナーの開催等を通じて、スポーツ医学の進歩に大きな貢献をしてきたと思います。医学そのものの進歩、様々なテクノロジーの進歩などに伴なって、スポーツ医学もどんどん発展しています。今後も、アスリート、一般市民、小児等すべての人が安全で、高いレベルのスポーツが続けられるよう、学会としても様々な活動をしていきたいと思います。
まず、とりあえずのターゲットは東京2020です。一般の人々がスポーツに関心を持つ良い機会でもあると考えます。学会としては、すべてのオリンピアン、パラリンピアンが安全に最高のパフォーマンスを発揮できるようなサポート体制を作り、スポーツ医学の重要性をアピールして行きたいと思います。そして、せっかくの機会ですから、その際に得られた経験やデータを活かして、2020以降もアスリートの強化、そして一般の方々の健康増進に役立てていける様に学会として活動していきたいと思います。
次いで、スポーツ医学の教育体制を確立したいと思います。現在、スポーツドクターやアスレティックトレーナーに対するスポーツ医学の教育は、それぞれの大学や施設、団体で個別に行われています。しかし、それぞれの大学や施設、団体にスポーツ医学のすべての専門家がいるわけではなく、まだまだ十分な教育体制ができているとは言えません。日本臨床スポーツ医学会はスポーツ医学の様々な専門家が集まっており、不得意分野はお互いに補完し合えば、学会全体として自分の施設だけでは出来ない知識や技術を教育することが可能です。日本整形外科スポーツ医学会では、整形外科領域に限られてはいますが、すでにある程度、学会内でそのようなシステムが機能しています。当学会でも是非これを参考に、そして協力しながらスポーツ医学全体としての質の高い教育体制を構築したいと思います。また、これらの教育成果をどのような形で制度化していくかについても大きな課題であり、これを含め教育体制の確立は必須だと思います。
最後に、国際的にみるとスポーツ全体におけるスポーツ医学の役割は、実に様々です。アメリカ、ヨーロッパ、アジア等、それぞれでのスポーツ医学のサポート体制、スポーツドクターやアスレティックトレーナーのあり方等、いい面、悪い面がありそうです。今後は、他の国のスポーツ医学会とも連携や交流を進め、日本臨床スポーツ医学会の発展に生かしていきたいと思います。会員の皆様、今後ともこれらのプロジェクトに是非ご協力を頂きたく、お願い申し上げます。